礼花 60代

長男8歳、次男7歳、長女4歳、私が35歳のときに、11年間連れ添った主人と別れました。何の罪もない子どもたちを親の都合でひとり親にしたことが申し訳なく、(どんなことがあっても子どもたちに寂しい思いをさせない)と強く決心し、生きてきました。

ある日、帰宅すると娘の足に包帯が巻かれていました。聞くと、長男の自転車の車輪に妹の足が挟まれケガをしてしまったと言うのです。
助けていただいた女性のお宅まで長男に案内してもらい、会いにいきました。その方が言いました。「見たこともない小さな男の子が『おばちゃん、助けて、助けて。妹がケガをしたので、病院に連れて行って』と、必死に助けを求めてきたものだから、放っておけずすぐに病院に連れて行き手当てをしてもらいました」と。見ず知らずの子どもたちを助けていただいた気持ちが嬉しく、ありがたく、心から感謝申し上げました。

長男には、何かあったときのために私の連絡先の電話番号を持たせていました。どうして最初に私に電話しなかったのかを聞いたら、「母さんに連絡していたら遅くなるから。ちょっと離れた所におばちゃんがいたから、おばちゃんに助けてもらおうと思った」と言いました。妹を助けることだけを考え行動した長男を誇らしくも思え、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

それからも長男は、弟や妹の面倒を私の代わりに見てくれました。
長男が小学4年生になっても指しゃぶりがとれず、指にからしを塗ったり、包帯で巻いたりして何とか指しゃぶりを直そうとしました。その当時はなぜ指しゃぶりをするのか、深く考えようとせず、その行いだけを見て責めていたのです。後でわかったことですが、原因は私にありました。長男という立場だけで弟や妹の面倒を見ることを余儀なくされ、自分も甘えたいのにずっと我慢して、指をしゃぶることで気持ちを落ち着かせていたのです。