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<登場人物>
新米ママ1新米ママ 赤ちゃん1赤ちゃん 天使ちゃん1天使ちゃん
 

新米ママ4よかった~。メイちゃん、嬉しそうだったね!
赤ちゃん4ばぶ~!
新米ママ2子どもが親を選んでくれたなんて、そりゃ嬉しいよね~。
世の中では、「子どもは親を選べない」って言われてるんだもの。
ほんとはちゃ~んと選んでるのにね。
赤ちゃん3ばぶ~!
天使ちゃん2ママさん、見てたわよ!公園でお話してたところ。
新米ママ2あ、天使ちゃん!私、うまくお話しできてた?
天使ちゃん3ばっちりよ!ママさんの愛情がいっぱい入ったお話だったから、お友達の心にも届いたのね。
新米ママ4照れるな~。
赤ちゃん4ばぶ~。
 
天使ちゃん1ところで、メイちゃんはどんなことに悩んでいるの?
新米ママ6それがね・・・。メイちゃんには5歳の男の子がいるのね。その子が、ほかの子と違うことに悩んでるみたいなの。
天使ちゃん10違うって、どんなとこが?
新米ママ5幼稚園で、パパの絵を書いたんだって。そしたら、どう見ても犬なの。
天使ちゃん9・・・それがパパだっていうの?
新米ママ6そうなの。あとね、よく物が壊れるんだって。その子がキーボードに触ったらパソコンが動かなくなったり。携帯も壊れたみたい。
天使ちゃん10・・・すごいわね・・・。
新米ママ10あとね、かなりの音痴だって言ってたかな~。その子が歌ってると、飼ってる犬が逃げ出すらしいの。
天使ちゃん9ある意味、特殊能力の持ち主ね・・・。でも、かわいいもんじゃない。まだ子どもなんだし、そんなに悩むことってあるかしら?
赤ちゃん1ば~ぶ~。
天使ちゃん1ほら、赤ちゃんも「気にしすぎだよ」って。
新米ママ6私もそう言ったんだけどね。メイちゃんにとっては、ほかの子と違ってることがすごく心配みたいなの。
天使ちゃん3まあ、そんなおもしろエピソードをいっぱい持ってる子はそういないわね。
でも、いいところだってたくさんあるでしょ。それにみんな違ってて当然よ。同じ人なんてひとりもいないわ。
赤ちゃん4ばぶー!
 
天使ちゃん6みんなができることができないとか、自分の子はほかの人と比べて劣ってるとか、親はみんなそういうことを気にするのね。
新米ママ6でも、それってみんなそうじゃない?やっぱり、まわりの同じくらいの子ができて、自分の子ができなかったら心配になるよ。
天使ちゃん1同じようにできてほしいのね。
新米ママ7うん、やっぱりね・・・。自分の育て方が悪いのかなって思うし。
天使ちゃん1人それぞれ、成長するペースが違うのにね。ねえ、ママさん。子どもって実は、みんな花の種なのよ。
赤ちゃん5ばぶ?
新米ママ5ええっ?人間じゃなかったの?
天使ちゃん9・・・ごめん、私の説明が悪かったわ。子どもはね、たとえて言うなら、一人ひとり違う花を咲かせる可能性を持った、花の種のようなものなのよ。
新米ママ4そうなんだ、びっくりした~。
赤ちゃん4ばぶ~。
天使ちゃん2それでね、たとえば、赤ちゃんがひまわりの種だったとして。
赤ちゃん6ばぶー!
天使ちゃん6え、食べられちゃうからイヤ?わかったわよ、じゃあアサガオの種で。
赤ちゃん3ばぶ。
天使ちゃん2で、アサガオの種に、ママさんが毎日お水をあげながら、「バラのように美しく咲いてね」と言っても、バラの花は咲かないわよね。
新米ママ1そうだよね。アサガオだもん。
天使ちゃん6でも、親って子どもにそういう期待をしてしまうことがあるのよ。
アサガオの花を咲かせたい子どもに、バラの花を咲かせてほしいって、その子の個性や才能を見ないで、自分の期待を押しつけてしまうの。
新米ママ7そんなの、子どもがかわいそうだよね。
赤ちゃん7ば~ぶ~。
天使ちゃん6そう思うでしょ。でも親って、ホントに子どものこと愛して育ててるはずなのに、いつの間にか自分の思う通りに育てることがその子のためになると、勘違いしてしまうことがあるの。
新米ママ6・・・分かる気がする。
 
天使ちゃん1よく子どもは「授かりもの」って言うけど、本当は「預かりもの」なのよ。
新米ママ5預かりもの?
天使ちゃん2そう。自分の産んだ子どもって、自分の所有物みたいに思っちゃう人が多いの。特にお母さんはね。
新米ママ2うん、その気持ちわかるよ~。だって自分の子どもだもの。
天使ちゃん5でも、よく考えてみて。この世では血がつながっているけど、魂で見たら、一人ひとり過去の人生はみんな違うのよ。
赤ちゃん5ばぶー。
新米ママ1そうか、そうだったね。私たちはいろんなところに生まれてるって言ってたよね。ずっと親子ってわけじゃないんだよね。
天使ちゃん1そうなの。それでね、「預かりもの」っていうのは、神様から大切な神の子をお預かりする、ってことなのよ。
新米ママ3そうか~。そう考えると、赤ちゃんを神棚に飾りたくなっちゃうな。
赤ちゃん6ば~ぶ~!
天使ちゃん9コラ、威張ってどうする。
 
新米ママ5ねえ、天使ちゃん。そうすると、親子だけど個性とか才能が違っててもおかしくないってことなの?
天使ちゃん2そのとおりよ。みんな違ってて当たり前なの。魂のルーツが違うんだもの。
新米ママ7私ね、子どものころから運動音痴だったの。でも、うちの両親はスポーツが得意で、私は拾われた子どもなのかと悩んだことがあったわ。
天使ちゃん4でも、ママさんは歌を歌うのが上手よね。
赤ちゃん4ばぶー!
天使ちゃん5赤ちゃんも褒めてるわよ。すごくきれいな声だって。
新米ママ2ありがとう。実は、運動音痴がずっと劣等感だったの。でも私は私で、ほかに得意なことがあるってことなんだね。
天使ちゃん6学校に行くとみんな同じことをするから、どうしても人と自分を比べてしまうのよね。だからこそ、教育をする大人たちが、できないことに対して劣等感を植え付けないようにしてほしいと思うわ。
新米ママ6私もそう思う。できないと怒る先生もいたの。
天使ちゃん3むしろ、できることを褒めて、伸ばしてあげることが大切だと思うの。
新米ママ2そうか・・・。子どもたちが花の種だとしたら、育てる側の大人たちがしっかりしないといけないんだね。
天使ちゃん4そのとおり!さすがママさんね。
赤ちゃん3ばぶ~!
 
天使ちゃん2神様は、私達一人ひとりに個性や才能を与えてくれているの。だから、みんな絶対に素晴らしい花を咲かせることができるのよ。それを開花させるお手伝いをするのが、大人たちの役目よ。
新米ママ3そうだね。お手伝いするだけでいいんだね。
天使ちゃん3ふふふ、そうよ。周りの大人たちがバラになれとか、ひまわりになれとか、うるさく言わなくてもいいの。その子を信じて見守ってあげて、困ったときにはそっと助けてあげればいいのよ。
新米ママ1そんなふうにできるといいな~。
天使ちゃん4ママさんなら大丈夫よ。赤ちゃんの可能性を信じて、あとはノビノビと育ててね。
赤ちゃん4ばぶー!
新米ママ5ねえ天使ちゃん、メイちゃんにはなんて言ってあげたらいいのかな。
天使ちゃん2今日の話をぜひしてあげてほしいな。それと、ちょっと心配しすぎだから、もっとおおらかに子育てしたほうがいいかもね。ママさんを見習って。
新米ママ5え~、私っておおらかかしら。
天使ちゃん5良く言えばね~。
赤ちゃん3ばぶー!
天使ちゃん4それから、5歳の男の子には「パパは犬じゃない」ってことだけは、しっかり教えておいた方がいいかもね。パパがかわいそうだわ。
新米ママ4じゃあ、メイちゃんに今日の話してみる!少し楽になるといいな。

 

3. 親子は約束して生まれてくる  5. 原因があるから結果がある