 | よかった~。メイちゃん、嬉しそうだったね! |
 | ばぶ~! |
 | 子どもが親を選んでくれたなんて、そりゃ嬉しいよね~。
世の中では、「子どもは親を選べない」って言われてるんだもの。
ほんとはちゃ~んと選んでるのにね。 |
 | ばぶ~! |
 | ママさん、見てたわよ!公園でお話してたところ。 |
 | あ、天使ちゃん!私、うまくお話しできてた? |
 | ばっちりよ!ママさんの愛情がいっぱい入ったお話だったから、お友達の心にも届いたのね。 |
 | 照れるな~。 |
 | ばぶ~。 |
| |
 | ところで、メイちゃんはどんなことに悩んでいるの? |
 | それがね・・・。メイちゃんには5歳の男の子がいるのね。その子が、ほかの子と違うことに悩んでるみたいなの。 |
 | 違うって、どんなとこが? |
 | 幼稚園で、パパの絵を書いたんだって。そしたら、どう見ても犬なの。 |
 | ・・・それがパパだっていうの? |
 | そうなの。あとね、よく物が壊れるんだって。その子がキーボードに触ったらパソコンが動かなくなったり。携帯も壊れたみたい。 |
 | ・・・すごいわね・・・。 |
 | あとね、かなりの音痴だって言ってたかな~。その子が歌ってると、飼ってる犬が逃げ出すらしいの。 |
 | ある意味、特殊能力の持ち主ね・・・。でも、かわいいもんじゃない。まだ子どもなんだし、そんなに悩むことってあるかしら? |
 | ば~ぶ~。 |
 | ほら、赤ちゃんも「気にしすぎだよ」って。 |
 | 私もそう言ったんだけどね。メイちゃんにとっては、ほかの子と違ってることがすごく心配みたいなの。 |
 | まあ、そんなおもしろエピソードをいっぱい持ってる子はそういないわね。
でも、いいところだってたくさんあるでしょ。それにみんな違ってて当然よ。同じ人なんてひとりもいないわ。 |
 | ばぶー! |
| |
 | みんなができることができないとか、自分の子はほかの人と比べて劣ってるとか、親はみんなそういうことを気にするのね。 |
 | でも、それってみんなそうじゃない?やっぱり、まわりの同じくらいの子ができて、自分の子ができなかったら心配になるよ。 |
 | 同じようにできてほしいのね。 |
 | うん、やっぱりね・・・。自分の育て方が悪いのかなって思うし。 |
 | 人それぞれ、成長するペースが違うのにね。ねえ、ママさん。子どもって実は、みんな花の種なのよ。 |
 | ばぶ? |
 | ええっ?人間じゃなかったの? |
 | ・・・ごめん、私の説明が悪かったわ。子どもはね、たとえて言うなら、一人ひとり違う花を咲かせる可能性を持った、花の種のようなものなのよ。 |
 | そうなんだ、びっくりした~。 |
 | ばぶ~。 |
 | それでね、たとえば、赤ちゃんがひまわりの種だったとして。 |
 | ばぶー! |
 | え、食べられちゃうからイヤ?わかったわよ、じゃあアサガオの種で。 |
 | ばぶ。 |
 | で、アサガオの種に、ママさんが毎日お水をあげながら、「バラのように美しく咲いてね」と言っても、バラの花は咲かないわよね。 |
 | そうだよね。アサガオだもん。 |
 | でも、親って子どもにそういう期待をしてしまうことがあるのよ。
アサガオの花を咲かせたい子どもに、バラの花を咲かせてほしいって、その子の個性や才能を見ないで、自分の期待を押しつけてしまうの。 |
 | そんなの、子どもがかわいそうだよね。 |
 | ば~ぶ~。 |
 | そう思うでしょ。でも親って、ホントに子どものこと愛して育ててるはずなのに、いつの間にか自分の思う通りに育てることがその子のためになると、勘違いしてしまうことがあるの。 |
 | ・・・分かる気がする。 |
| |
 | よく子どもは「授かりもの」って言うけど、本当は「預かりもの」なのよ。 |
 | 預かりもの? |
 | そう。自分の産んだ子どもって、自分の所有物みたいに思っちゃう人が多いの。特にお母さんはね。 |
 | うん、その気持ちわかるよ~。だって自分の子どもだもの。 |
 | でも、よく考えてみて。この世では血がつながっているけど、魂で見たら、一人ひとり過去の人生はみんな違うのよ。 |
 | ばぶー。 |
 | そうか、そうだったね。私たちはいろんなところに生まれてるって言ってたよね。ずっと親子ってわけじゃないんだよね。 |
 | そうなの。それでね、「預かりもの」っていうのは、神様から大切な神の子をお預かりする、ってことなのよ。 |
 | そうか~。そう考えると、赤ちゃんを神棚に飾りたくなっちゃうな。 |
 | ば~ぶ~! |
 | コラ、威張ってどうする。 |
| |
 | ねえ、天使ちゃん。そうすると、親子だけど個性とか才能が違っててもおかしくないってことなの? |
 | そのとおりよ。みんな違ってて当たり前なの。魂のルーツが違うんだもの。 |
 | 私ね、子どものころから運動音痴だったの。でも、うちの両親はスポーツが得意で、私は拾われた子どもなのかと悩んだことがあったわ。 |
 | でも、ママさんは歌を歌うのが上手よね。 |
 | ばぶー! |
 | 赤ちゃんも褒めてるわよ。すごくきれいな声だって。 |
 | ありがとう。実は、運動音痴がずっと劣等感だったの。でも私は私で、ほかに得意なことがあるってことなんだね。 |
 | 学校に行くとみんな同じことをするから、どうしても人と自分を比べてしまうのよね。だからこそ、教育をする大人たちが、できないことに対して劣等感を植え付けないようにしてほしいと思うわ。 |
 | 私もそう思う。できないと怒る先生もいたの。 |
 | むしろ、できることを褒めて、伸ばしてあげることが大切だと思うの。 |
 | そうか・・・。子どもたちが花の種だとしたら、育てる側の大人たちがしっかりしないといけないんだね。 |
 | そのとおり!さすがママさんね。 |
 | ばぶ~! |
| |
 | 神様は、私達一人ひとりに個性や才能を与えてくれているの。だから、みんな絶対に素晴らしい花を咲かせることができるのよ。それを開花させるお手伝いをするのが、大人たちの役目よ。 |
 | そうだね。お手伝いするだけでいいんだね。 |
 | ふふふ、そうよ。周りの大人たちがバラになれとか、ひまわりになれとか、うるさく言わなくてもいいの。その子を信じて見守ってあげて、困ったときにはそっと助けてあげればいいのよ。 |
 | そんなふうにできるといいな~。 |
 | ママさんなら大丈夫よ。赤ちゃんの可能性を信じて、あとはノビノビと育ててね。 |
 | ばぶー! |
 | ねえ天使ちゃん、メイちゃんにはなんて言ってあげたらいいのかな。 |
 | 今日の話をぜひしてあげてほしいな。それと、ちょっと心配しすぎだから、もっとおおらかに子育てしたほうがいいかもね。ママさんを見習って。 |
 | え~、私っておおらかかしら。 |
 | 良く言えばね~。 |
 | ばぶー! |
 | それから、5歳の男の子には「パパは犬じゃない」ってことだけは、しっかり教えておいた方がいいかもね。パパがかわいそうだわ。 |
 | じゃあ、メイちゃんに今日の話してみる!少し楽になるといいな。 |